──ただ、相変わらず情報量の多い音楽ではあるんだけど、まるでしつこくないですね。つまり必要なことだけをすべて詰め込んでる。

  AIBA:ああ、そうですね。余計なところはなるべく削るように、
  心がけたところはありました。新しいことにはどんどん挑戦した
  んですけど、結果として引き算することのほうが多かったかな、
  と。全力を出すっていうのをはき違えると、何から何まで詰め込ん
  でしまいそうだけど、そこは冷静に考えて、
  本当に必要なものだけに絞ることを考えましたね。

  ──今回も収録候補曲はたくさんあったんでしょう?

  SOYA:でも、結果的に収録したのはほとんど新曲なんですよ。
  TOSHIRO:シングルのクオリティのものだけ集めても、
  20曲ぐらいあったんじゃない?
  SOYA:だから箸休めがない。実は、そういうの作ろうかなって
  思った瞬間もあったんですけど、作れなかった(笑)。




──だいたい『Prelude〜Alive〜』からして、アルバムのイントロダクションという位置づけにもかかわらず濃厚すぎる(笑)。


TOSHIRO:そうでしょ? 濃すぎるんです。半端じゃないっす(笑)。
AIBA:開会式からすでにクライマックスのような盛り上がり(笑)。ま、ラストの『ALIVE』と繋げて、アルバム全体を曲がめぐるという感じでまとめたかったんですよ。
KIM:それにしてもゴージャスな始まりですよね。で、最後は終わった〜!聴き倒したぞ〜!っていうぐらいの達成感があって(笑)。1曲ごとに場面展開があるような、映画みたいな感じですよね。

──1曲1曲が個性的なのは、4人それぞれがフルスイングしているからなんでしょうね。

KIM:そうですね。各々が自分のできることをやれるだけやったアル
バムかなと思いますね。4人が同じ方向を見て走ったからこそできた
んだと思いますけど。

──時とともにサウンドのクオリティが上がるのは当然としても、今
回、何よりも変化を感じさせるのは歌詞の部分だと思うんです。


KIM:それは自分たちでも思いますね。『1st BEST』をリリースし
てはじめて、Hi-Fi CAMPの音楽ってものを俯瞰で見ることができたん
です。で、そのあとにツアーをやったじゃないですか。そこで、お客
さんがどの曲でどんな顔をするのかっていうのを目の当たりにしたと
きに、もっといい顔をさせられるんじゃないかと思ったんですよね。
要するに、俺の頭の中にあるものを、もっと広げていっていいんじゃ
ないかと。もっと掘り下げたり、もっと強く言っても、みんな受け入
てくれるはずだ、と。


──オーディエンスから自信をもらった?

KIM:そうなんです。それまで意識はしてなかったけど、表現の幅を自分らで制限してたところがあったんでしょうね。それを崩してくれたのがファンの人たちで。メンバー間でそれについて特に話し合ったわけでもないんですけど、SOYAの書いてくる詞もバリエーション豊かになりましたから。そういう意味では、感情の起伏みたいなものがちゃんと出せてると思うんですよね。だから飽きずに聴いてもらえるんじゃないかな、と。
SOYA:今までのHi-Fi CAMPのサウンドが好きだという人も楽しんで聴けるだろうし、まったく新しいものだっていう捉え方もしてもらえると思うんですよね。意識的に幅を広げたところもあるし、新しい試みもいっぱいしてるんで。

──本質的な“蒼さ”を根底に持ちつつも、それを凌駕するほどの“色気”が確かに今作にはありますからね。

KIM:だから正直ね、楽曲たちがここまで大人になれると思ってなかったんですよ。音にしろ、詞の世界にしろ、いい感じで成長できたんじゃないかな。1st から2ndへ、アルバムがちゃんと年を取れたなと、今そう思えることがすげー嬉しいですね。



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